20代でシンガポール転職と聞くと、「経験も年収もまだ足りないのでは?」と尻込みする方が多いかもしれません。しかし実は、2023年に導入されたCOMPASS(ポイント制ビザ審査)のもとでは、20代はむしろ有利なポジションにいます。
この記事では、その構造的な理由と、20代が実際にシンガポール転職を成功させるための条件・職種選び・具体的なキャリアパターンを解説します。
目次
COMPASSで20代が「構造的に有利」な理由

COMPASS導入以前は「年収が高ければEPが取れる」というシンプルな構造でした。しかし現在のCOMPASSでは、EP申請者の給与が同セクター・同年齢帯のローカルPMET(専門職・管理職・技術職)と比較されます。
ここに20代の圧倒的な優位性があります。
給与ベンチマークが「年齢連動」で低い
COMPASSのC1基準(給与基準)では、ローカルPMETの給与分布の上位35%(65パーセンタイル)以上であれば10ポイント、上位10%(90パーセンタイル)以上であれば20ポイントが付与されます。
このベンチマークは年齢帯別に設定されているため、20代のベンチマークは40代・50代と比べて大幅に低いのです。つまり、20代であればS$5,600〜S$6,500程度の月給でもC1基準で10〜20ポイントを獲得できる可能性がありますが、40代で同じポイントを得るにはS$10,000〜S$15,000以上が必要になるケースもあります。
企業にとっても20代のEP申請は「通しやすい」
企業側から見ると、20代の候補者は比較的低い給与水準でCOMPASSのC1ポイントを稼げるため、EP申請全体のポイント設計がしやすくなります。40代で高額な給与を提示しなければビザが通らないリスクを考えると、同じスキルレベルなら企業は20代を採用した方がビザの確実性が高いという構造が生まれています。
学歴ポイント(C2)が取りやすい世代
COMPASSのC2基準(学歴)では、MOMが認定する大学リストに掲載されている大学の卒業者に20ポイントが付与されます。2026年1月から、日本の対象校は東京大学・京都大学・東京工業大学・東北大学・大阪大学に加え、慶應義塾大学・早稲田大学も追加され計7校となりました。
対象校でなくても、正規の大学卒業であれば10ポイントは獲得可能です。20代は大学卒業からの年数が短く、学歴証明の取得もスムーズなため、C2でのポイント獲得において不利になる要素はほぼありません。
20代のEP取得に必要な3つの条件

COMPASSで有利とはいえ、最低限クリアすべき条件は存在します。
① 月額固定給S$5,600以上(金融はS$6,200以上)
これはEP申請の絶対条件であり、年齢を問わず全員に適用されます。2026年現在の最低ラインはS$5,600(金融セクターはS$6,200)です。日本円に換算するとおよそ月62万〜68万円。日本の20代の平均月収を大きく上回りますが、シンガポールの給与水準ではジュニアポジションでも十分に到達可能なレンジです。
② 大卒以上の学歴(または同等の専門資格)
EPは原則として大学卒業以上の学歴が求められます。職歴で代替が認められるケースもありますが、20代で業務経験が浅い場合は学歴が重要な判断材料になります。
③ 企業からの内定(ジョブオファー)
EP申請は雇用主が行うため、シンガポール企業からの内定が前提です。自分で申請することはできません。企業がMyCareersFutureに14日間の求人掲載を行った上で、外国人を採用する正当な理由を示す必要があります。
20代が狙えるシンガポールの職種と給与レンジ

「20代でS$5,600以上」と聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、以下の職種ではジュニア〜ミッドレベルで十分に到達可能です。
デジタルマーケティング / Eコマース
シンガポールはASEAN市場のハブであり、日本ブランドの東南アジア展開を担うマーケティング人材の需要が旺盛です。SEO・SEM・SNSマーケティングの実務経験があれば、S$5,500〜S$8,000の給与レンジで複数のオファーが期待できます。
日本語と英語のバイリンガルスキルは、この領域で8〜30%のプレミアムが乗る「希少価値」として評価されます。
IT・ソフトウェアエンジニア
シンガポール政府のSmart Nation構想やAI推進政策を背景に、テック人材は慢性的に不足しています。フロントエンド・バックエンドのエンジニア、データアナリスト、クラウドエンジニアなどは、経験2〜3年でもS$6,000〜S$10,000のオファーが出るケースがあります。
さらに、AIエンジニアやサイバーセキュリティなどはMOMのShortage Occupation List(SOL)に掲載されており、COMPASSのC5ボーナスで最大20ポイントの追加が可能です。
コンサルティング / プロフェッショナルサービス
戦略コンサルや会計・税務コンサルなど、専門スキルを持つ20代はシンガポールの外資系ファームで高い評価を得られます。Big 4やブティック系ファームのアソシエイト〜シニアアソシエイトクラスで、S$6,000〜S$9,000のレンジが一般的です。
日本企業のASEAN進出支援やクロスボーダー案件に対応できる日本語力は、差別化要因として強く機能します。
カスタマーサクセス / セールス(日系・外資SaaS)
日系SaaS企業のシンガポール拠点や、外資系テック企業の日本市場担当ポジションでは、20代のジュニア人材を積極採用する傾向があります。給与レンジはS$5,500〜S$7,500が中心で、成果連動のインセンティブが加わるケースも多いです。
日系企業の新卒・第二新卒採用枠
シンガポールに拠点を持つ日系企業(商社、メーカー、物流、人材紹介など)では、新卒・第二新卒のポテンシャル採用を行っている企業もあります。この場合の給与はS$5,600〜S$6,500程度と最低ラインに近くなりますが、住居手当や帰国航空券などの福利厚生でカバーされるケースが多いのが特徴です。
20代シンガポール転職の3つの成功パターン

実際に20代でシンガポール転職を実現した人には、いくつかの共通パターンがあります。
パターン①:日本で2〜3年の実務経験を積んでから転職
最も王道のルートです。日本でマーケティング、IT、営業などの実務を2〜3年経験した後、シンガポールの同業種にジュニアポジションで転職します。日本での実績と英語力があれば、S$6,000〜S$8,000の給与でEPを取得し、日本の同年代よりも高い手取り収入を実現できます。
パターン②:日系企業のシンガポール拠点にポテンシャル採用
新卒〜第二新卒で、日系企業のシンガポール現地法人に直接応募するパターンです。Reeracoen(リーラコーエン)やGood Job Creationsなど、20代の現地採用に強いエージェントを活用するのが効率的です。業務経験が浅くても、大卒+ビジネスレベルの英語力があれば応募可能な求人が存在します。
パターン③:日本の大手企業に入社→シンガポール法人へ異動
特に金融・コンサル・商社では、日本法人に入社した後にシンガポール法人への社内異動(ICT:企業内転勤)でシンガポールに渡るパターンが多く見られます。この場合はEPではなく社内転勤用のビザが適用されるため、COMPASS審査が免除されるメリットがあります。
入社時から「海外法人への異動実績があるか」を確認し、意思表示を早い段階で行っておくことが成功の鍵です。
20代だからこそ気をつけるべきリスクと対策

① 生活費の「甘い見積もり」
シンガポールの生活費は東京以上です。月給S$5,600の手取りは約S$5,400程度ですが、家賃だけでHDBのルームシェアでS$800〜S$1,200かかります。渡航前に必ず月単位の家計シミュレーションを行い、最低でも半年分の生活費(S$10,000〜S$15,000)を貯金してから渡航しましょう。
② 英語力の壁
シンガポールのビジネス公用語は英語です。日系企業であっても、社内のローカルスタッフとのコミュニケーションや顧客対応は英語が前提となります。TOEIC 800点以上、またはIELTS 6.5以上が実務上の最低ラインです。面接も英語で行われるケースが大半なので、事前の対策は必須です。
③ 「とりあえずシンガポール」のリスク
「海外で働きたい」という漠然とした動機だけでは、面接で「なぜシンガポールなのか」「何年いるつもりか」という質問に答えられず、不合格になるケースが多いです。シンガポールを選ぶ具体的な理由(ASEAN市場へのキャリア拡大、特定業界の成長性など)を言語化しておきましょう。
ネクストアクション:20代の今こそ動くべき理由

COMPASSの給与ベンチマークは毎年更新され、全体的に上昇傾向にあります。つまり、年齢が上がるほど、求められる給与水準も上がり、EP取得のハードルは確実に高くなるのです。
20代の今であれば、S$5,600〜S$7,000程度の給与でもCOMPASSの基準をクリアできる可能性が高く、日本の同年代と比べて手取りで月10万円以上多い生活を実現できます。30代、40代になってから「あの時動いておけば」と後悔しないために、まずは情報収集から始めてみてください。
20代のシンガポール転職に強いエージェントでは、ポテンシャル採用枠の求人やCOMPASSの事前診断も含めた無料相談を受けることができます。
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