転職エージェントに登録したのに「紹介できる求人がありません」と言われた。面談の連絡すら来なかった。──こうした経験をすると、「自分には市場価値がないのか」と落ち込んでしまいますよね。
しかし、エージェントに断られることは珍しいことではなく、原因のほとんどは「エージェントの選び方」か「伝え方」に起因しています。つまり、原因さえ分かれば改善できるケースがほとんどです。
本記事では、転職エージェントに断られるよくある原因を8つに分類し、それぞれの具体的な改善策と、断られた後の正しい動き方を解説します。海外転職を目指している方に特有の「断られやすいパターン」も併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそもなぜ転職エージェントは断るのか?

転職エージェントは、求職者を企業に紹介し、採用が決まった場合に企業から紹介手数料(年収の30〜35%が相場)を受け取るビジネスモデルで成り立っています。つまり、「この人を紹介しても採用に至らない可能性が高い」と判断した場合は、サポートを見送るインセンティブが構造的に存在します。
ただし、これは求職者に「価値がない」ということではなく、そのエージェントが保有する求人と求職者のプロフィールが「たまたまマッチしなかった」だけという場合も多いのです。エージェントは国内だけで約29,000社(厚生労働省「令和5年度職業紹介事業報告書」)あるため、1社に断られたからといって悲観する必要はありません。
| 断る側の事情 | 求職者からの見え方 | 実際の意味 |
| 保有求人とのミスマッチ | 「紹介できる求人がない」と言われた | そのエージェントの得意領域と合わなかっただけ |
| 対応キャパシティの上限 | 登録後に連絡が来ない | 繁忙期でコンサルタントが手一杯。優先度の高い人から対応 |
| 採用見込みが低いと判断 | 面談後に求人を紹介されない | 経歴・スキルが保有求人の要件に合わないと判断された |
転職エージェントに断られる8つの原因と改善策

原因①:経歴・スキルがエージェントの保有求人と合わない
最も多い原因です。特にハイクラス特化のエージェント(JACリクルートメント、ビズリーチ、LHH転職エージェント等)は、管理職経験やマネジメント実績、年収500万円以上などを求人の前提としている場合が多く、若手や未経験者は「紹介できる求人がない」と言われやすい傾向があります。
| 断られやすいケース | 改善策 |
| 社会人経験3年未満でハイクラス特化エージェントに登録 | 20代・第二新卒向けのエージェント(マイナビジョブ20’s、ハタラクティブ等)に切り替える |
| マネジメント経験がないのに管理職求人を希望 | まずはプレイヤー〜リーダーレベルの求人で実績を積み、次の転職でステップアップを狙う |
| 業界未経験で専門職を希望 | 未経験可の求人が多い総合型エージェント(リクルートエージェント、doda等)に登録する |
原因②:転職回数が多い / 在籍期間が短い
26歳で3回目の転職、1社あたりの在籍期間が1年未満──こうしたケースでは「早期退職リスクが高い」と判断され、エージェントが紹介を躊躇します。企業に紹介した人材が短期で退職すると、エージェントは紹介手数料を返金しなければならないため、リスクの高い候補者は敬遠されがちです。
| 状況 | 改善策 |
| 転職回数が3回以上(20代)/ 5回以上(30代) | 各転職の理由を「前向きなストーリー」で説明できるように準備する。「スキルアップのため」「事業縮小のため」等、納得感のある理由を整理 |
| 1社あたりの在籍期間が1年未満 | 直近の職場ではなるべく長く勤めてから転職活動を開始する。最低でも1年、理想は2年以上の在籍期間を確保 |
原因③:希望条件が高すぎる / 絞り込みすぎている
「年収800万円以上」「リモートワーク必須」「東京23区のみ」「マネージャー以上」──条件を積み上げすぎると、マッチする求人がゼロになり、エージェントは紹介を断らざるを得ません。
| ありがちな条件設定 | 改善策 |
| 現年収500万円だが「年収800万円以上」を希望 | 希望条件を「絶対に譲れない条件」と「あれば嬉しい条件」の2段階に分ける。年収は現実的なレンジ(現年収の110〜130%程度)で伝える |
| 業界・職種・勤務地・働き方すべてを限定 | 最も重要な条件を2つに絞り、それ以外は「柔軟に検討可能」と伝える |
| 「この会社しか行きたくない」と1社に限定 | エージェントに「第一志望は○○ですが、同業界の類似ポジションも検討します」と幅を持たせる |
原因④:転職意欲が低いと判断された
エージェントからの連絡への返信が遅い、面談の日程がなかなか決まらない、「とりあえず情報収集だけ」という姿勢──こうした態度は「転職意欲が低い」と判断され、優先度を下げられます。エージェントのコンサルタントは1人で数十名の求職者を担当しているため、レスポンスの早い人から優先的に対応するのが実態です。
| NGな行動 | 改善策 |
| メールの返信に3日以上かかる | 24時間以内の返信を徹底する。忙しくても「確認しました。○日までに回答します」と一報を入れる |
| 「いい求人があれば考えます」とあいまいな態度 | 「3か月以内に転職したい」「○月入社を目標にしている」と具体的な時期を伝える |
| 面談後のフォローアップをしない | 面談後に「本日はありがとうございました。○○の求人に特に興味があります」とお礼メールを送る |
原因⑤:年齢と希望のミスマッチ
40代以上で未経験職種への転職を希望する場合や、50代以上の場合は、エージェントが保有する求人の条件と合わないケースが増えます。これは年齢差別ではなく、企業の求人要件として「○○年以上の業界経験」「マネジメント経験5年以上」等が設定されているためです。
| 状況 | 改善策 |
| 40代で異業種への完全キャリアチェンジを希望 | これまでの経験が活かせる「隣接領域」への転職を検討する。例:製造管理→製造業向けITコンサル |
| 50代以上でエージェントに登録 | ハイクラス・エグゼクティブ特化のエージェント(JACリクルートメント、ロバート・ウォルターズ等)に登録する。管理職・顧問・CxOポジションに強いエージェントを選ぶ |
原因⑥:エージェントの得意領域と合っていない
IT特化のエージェントに製造業の求人を探してもらおうとしたり、国内転職専門のエージェントに海外求人を依頼したりすれば、「紹介できる求人がない」と言われるのは当然です。エージェントにはそれぞれ得意領域があり、自分の希望と合致するエージェントを選ぶことが第一歩です。
| 希望する転職の方向性 | 適したエージェントの例 | 避けた方が良いエージェント |
| 海外転職(駐在) | JACリクルートメント、ビズリーチ、リクルートダイレクトスカウト | 国内特化・地域密着型エージェント |
| 海外転職(現地採用) | RGF、Reeracoen、JACリクルートメント、LHH転職エージェント | ハイクラス駐在特化のエージェント(年収帯が合わない場合) |
| 20代・第二新卒 | LHH転職エージェント、ハタラクティブ、第二新卒エージェントneo | エグゼクティブ・管理職特化のエージェント |
| IT・エンジニア | レバテックキャリア、Geekly、Green | 製造業・金融特化のエージェント |
| ハイクラス(年収800万円以上) | JACリクルートメント、ビズリーチ、ロバート・ウォルターズ | 未経験者向け・若手特化のエージェント |
原因⑦:職務経歴書の内容が不十分
登録時に提出する職務経歴書の内容が薄いと、コンサルタントが「この人にはどんな求人が合うのか」を判断できず、結果として求人紹介の優先度が下がります。特に、業務内容を箇条書きで羅列しているだけで、成果や数値が一切書かれていない経歴書は要注意です。
| NGな職務経歴書 | 改善後のイメージ |
| 「営業として法人向け新規開拓を担当」とだけ記載 | 「法人向け新規開拓営業。年間売上目標1.2億円に対し135%達成(チーム内1位)。新規顧客25社を獲得」のように成果を数値で記載 |
| 「海外出張あり」とだけ記載 | 「タイ・ベトナムへの出張年6回。現地パートナー企業との契約交渉を担当し、3社との新規代理店契約を締結」のように具体的に記載 |
原因⑧:【海外転職特有】語学力やビザ要件を満たしていない
海外転職を希望する場合に特有の「断られる理由」があります。海外求人には語学力やビザ取得に必要な学歴・職歴年数の要件があり、これを満たしていないとエージェントは求人を紹介できません。
| 断られる理由 | 具体例 | 改善策 |
| 語学力が不足 | TOEIC 600点以下で英語必須のポジションを希望 | TOEICスコアを最低700点以上(理想は800点以上)に上げてから再チャレンジ。スコアがなくても英語面接をこなせる実力があればカバー可能 |
| ビザ要件を満たさない | 大卒未満でシンガポールのEPを希望。または職歴3年未満でタイのWPを希望 | ビザ要件が比較的緩い国(ベトナム、インドネシア等)から検討する。または国内で職歴を積んでから再挑戦 |
| 希望国の求人が少ない | 欧米希望だがエージェントの得意領域はアジア | 希望地域に強いエージェントに切り替える(欧米ならロバート・ウォルターズ、マイケル・ペイジ等) |
断られた後にやるべき5つのアクション

エージェントに断られた直後は落ち込みますが、ここで行動を止めてしまうのが最大の失敗です。以下の5つのアクションを順番に実行しましょう。
| # | アクション | 具体的にやること |
| 1 | 断られた理由を分析する | 上記8つの原因に自分が該当するものがないかチェック。可能であればエージェントに「具体的にどの点が要件と合わなかったか」を率直に聞く |
| 2 | 職務経歴書を見直す | 成果を数値化し、スキルキーワードを明記。海外転職なら英文CVも併せて作成・ブラッシュアップ |
| 3 | 別のエージェントに登録する | 3〜4社に同時登録するのが基本。得意領域が異なるエージェントを組み合わせる(総合型1社+専門型2社が目安) |
| 4 | 希望条件を再設定する | 「絶対に譲れない条件」を2つに絞る。年収レンジは市場相場に合わせて現実的に設定 |
| 5 | エージェント以外のチャネルも活用する | 転職サイト(doda、リクナビNEXT)、スカウトサービス(ビズリーチ)、LinkedIn、企業への直接応募、ハローワークなど複数チャネルを並行 |
エージェント以外の転職チャネル一覧

どうしてもエージェントに断られ続ける場合は、エージェント以外の方法で転職活動を進めることも選択肢です。
| チャネル | 特徴 | 向いている人 |
| 転職サイト | 自分で求人を検索・応募。キャリアアドバイザーのサポートはなし | 自分で動ける人。幅広い求人を見たい人 |
| スカウトサービス | 経歴を登録しておくと、企業やヘッドハンターからオファーが届く | 市場価値が高い人。受け身でも転職機会を得たい人 |
| プロフィールを公開し、海外企業から直接コンタクトを受ける | 海外転職希望者。英語でプロフィールを作成できる人 | |
| 企業への直接応募 | 企業の採用ページから直接エントリー。エージェント手数料がかからないため、企業側の採用ハードルがやや下がる場合も | 志望企業が明確な人。自己PR力がある人 |
| ハローワーク | 公的な職業紹介機関。登録を断られることがない | 地方での転職、未経験可の求人を探している人 |
| リファラル(知人紹介) | 社員の紹介経由で応募。書類選考が通過しやすい傾向 | 業界内にネットワークがある人。海外駐在経験者のコミュニティに所属している人 |
海外転職でエージェントに断られないための5つのコツ

海外転職は国内転職と比べて求人数が少なく、ビザ要件などの制約もあるため、「断られる確率」が構造的に高くなります。以下の5つのコツを押さえておくと、エージェントから前向きに対応してもらいやすくなります。
| # | コツ | 具体的なアクション |
| 1 | 国・地域を明確にする | 「海外ならどこでもいい」ではなく「タイまたはインドネシア」のように絞る。エージェントは国単位で求人を管理している |
| 2 | 駐在と現地採用の両方を検討する | 「駐在だけ」に絞ると求人が極端に少なくなる。現地採用も視野に入れると紹介可能な求人が一気に増える |
| 3 | 英文CVを事前に用意する | 登録時に英文CVを添付すると「海外転職への本気度が高い」と判断され、コンサルタントの優先度が上がる |
| 4 | 海外拠点を持つエージェントを選ぶ | JAC Recruitment、RGF、Reeracoen等の現地拠点を持つエージェントは、海外求人を豊富に保有している |
| 5 | 語学力を客観的に示す | TOEIC、IELTS、TOEFLのスコアを登録フォームに記載する。スコアがなければ「英語での業務経験○年」と具体的に記載 |
まとめ
転職エージェントに断られた場合のポイントを整理します。
- 断られるのは「珍しいことではない」── エージェントは約29,000社あり、1社のミスマッチで転職自体が不可能になるわけではない
- 最も多い原因は「エージェントの得意領域と合っていない」── 自分の希望に合ったエージェントを選び直すだけで解決するケースが多い
- 職務経歴書の質が低いと優先度が下がる ── 成果を数値化し、スキルキーワードを明記する
- 希望条件は「2つに絞る」── 絶対に譲れない条件と、柔軟に検討できる条件を明確に分ける
- 断られたら「分析→改善→次のアクション」── 落ち込んで行動を止めるのが最大の失敗
- エージェント以外のチャネルも活用する ── 転職サイト、LinkedIn、直接応募、リファラルを並行して進める
- 海外転職では英文CVの事前準備と国の明確化が鍵 ── 本気度を示すことでコンサルタントの対応が変わる
エージェントに断られたことは、転職活動の「失敗」ではなく「方向修正のサイン」です。原因を分析し、適切なエージェントを選び直し、書類と条件を見直せば、次のチャンスは必ず見つかります。
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