2026年のオーストラリア求人市場は、「求人が減ってきた」と一括りにできるほど単純ではありません。全体としてはピークアウトの兆しがある一方で、医療・介護、建設、教育、特定領域のテック職などでは人材不足が続き、採用の強さが残っています。
本記事では、最新の統計データと政策動向を踏まえながら、2025年の振り返りと2026年の見通しを整理し、どんな人がどこで勝ちやすいのか、実務目線で解像度高く解説します。
目次
2026年でのオーストラリアの市場予測

オーストラリアの求人市場は、2022〜2023年の「過熱」からは落ち着きつつある一方、職種・地域によって“強さが残る領域”がはっきり分かれる局面に入っています。実際、失業率は2025年11月時点で4.3%(季節調整済)と、歴史的に見ればなお低水準です。ただし求人はピークから下がっており、たとえば求人空席(Job Vacancies)は2025年8月に327,200件で、ピーク(2022年5月)からは大きく減少しています。
2026年は、景気の減速感と人手不足が同時に存在する、いわば二重構造の雇用市場になりやすい年です。
1) 2026年は「ソフトランディング型」:求人は減速、失業率は緩やかに上振れ
政府の見通し(MYEFO)では、失業率は2025–26に4.5%程度へ上がり、その後も同水準の推移が想定されています。
一方で、求人広告の水準は「コロナ前より高い」状態が残っています。Jobs and Skills Australia の Internet Vacancy Index(IVI)では、2025年11月の求人広告数は204,500件で、前月比は小幅減でも、2019年平均より約20%高いと示されています。
結論:2026年は「全体の売り手市場が続く」ではなく、業界に応じて変わる事が想定される。
- 供給が追いつかない領域(医療・介護、教育、建設、特定ITなど)は採用強い
- 一般事務や一部ホワイトカラーは競争が戻るという形の“濃淡”が強まります。
2) 「二極化」を生む3つのドライバー
(A) 人材不足の“根っこ”が消えない
オーストラリアは技能不足の解消を移民政策と連動させており、2025–26の永住移民枠は185,000、うちスキル枠が132,200(約71%)という構成です。
さらに優先領域として、政府は地域(regional)向け雇用や医療・教員系を優先し得る枠組みを示しています。
→ “不足職種 × regional” は2026年も強い、という見立てが合理的です。
(B) コスト圧力と生産性要請が「即戦力」を選別する
景気が減速しても、企業は止まりません。むしろ「少人数で回す」ために、即戦力+業務改善+データ活用を持つ人が選ばれやすくなります。
(C) AI導入が「職種」ではなく「タスク」を変える
Jobs and Skills Australia は、生成AIなどの技術が労働に与える影響を整理し、仕事が“置き換え”だけでなく“再設計(タスク再配分)”される点を強調しています。
→ 2026年は「AI職」だけが伸びるのではなく、AIを使える営業・PM・採用・カスタマーサクセス・経理のような“横断スキル人材”が強い年になります。
3) 2026年の採用市場:3つのシナリオ(実務的)
- ベース(最有力):求人は緩やかに減速、ただし不足領域は高止まり(“二極化”が進む)
- 上振れ:インフレ沈静化+利下げ局面が進めば、再び採用が広がる(特に建設・消費関連)
- 下振れ:世界景気ショック等で企業が採用凍結→競争激化(ただし医療・介護・教育などは底堅い)
転職者がやるべきは、景気当てではなく、「不足領域に自分を寄せる設計」です。
オーストラリアでの各業界のトレンド予測

ここから各業界での予測を行っていきたいと思います。ポイントは「伸びる/鈍る」より、“誰が採られるか”の条件がどう変わるかです。
IT & テクノロジー
2026年のIT採用は「全方位の拡大」から、重点領域の選別へ移行しやすいです。
伸びやすい領域(採用が強い)
- サイバーセキュリティ(規制強化・インシデント増で優先順位が落ちにくい)
- データ/AI活用(分析・MLOps・データ基盤):AI導入が“PoC止まり”にならない企業ほど人が要る
- 業務系クラウド(ERP/CRM)+業務理解:技術だけではなく“業務に刺す”人材が強い
採用で見られる条件(2026年の実務)
- 「何ができるか」を、成果物(ポートフォリオ/ケース/数値)で語れること
- 技術+業界知識(物流・医療・建設など)の組み合わせ
- 英語力以上に、ステークホルダー調整力(PM力)が評価されやすい
“AIを作る人”だけでなく、“AIで現場のKPIを動かせる人” になる。
ヘルスケア領域
ヘルスケアは2026年も引き続き、最も構造的に強い領域です。JSAの職種不足(Occupation Shortage)でも、医療・ケア関連の不足が継続して示されています。
強い職種の例(傾向)
- 看護、介護・ケア、関連する臨床支援
- 地方(regional)での医療提供を支える職種
採用側の視点(2026年)
- 資格・登録の確認(AHPRA等)が前提
- 現場は慢性的に忙しいため、すぐ入れる人の価値が上がる
- 同時に、組織は離職コストが高いので、定着・キャリア意向も強く見られます
建設業
建設は金利や景気の影響を受けますが、オーストラリアは住宅・インフラ・エネルギー移行など複合要因があり、人手不足が消えにくい領域です。職種不足でも建設・トレード系の不足が継続して示されています。
2026年のポイント
- 「職人不足」だけでなく、現場管理・安全・工程・コストを回せる人材が鍵
- “現場×デジタル”(BIM、現場アプリ、データ化)への適応が評価されやすい
- regional 案件やプロジェクト単位採用が増えるほど、**移動可能性(勤務地柔軟性)**が武器になる
施工系の人は、職務経歴を「規模」「工期」「予算」「あなたの責任範囲」「安全・品質の実績」**で書き換えるだけで通過率が上がります。
教育系
教育は、制度変更や国際教育の健全化などが影響しやすい一方、現場不足が残る領域です。職種不足でも教育関連(特に幼児教育等)の不足が示されています。
また、国際教育の“質”を高める方向の政策検討も進んでいます。
2026年の採用で強い方向性
- 幼児教育・専門領域の教育など、供給が追いつきにくい領域
- “教える”だけでなく、学習設計・評価・保護者コミュニケーションを含めて担える人
教育職は「理念」だけでなく、離脱率改善、学習成果、運営改善など“成果指標”を持ち込めると強いです。
転職希望者に対する変更点について

ここからはオーストラリアに転職しようとしている方々に対する変更点になります。
ビザの変更
2026年を語るうえで、ビザは避けて通れません。代表例として、2024年12月7日から Skills in Demand(SID)ビザが、TSS(旧482)に置き換わったことが公式に明記されています。
また、永住枠は2025–26に**185,000(スキル132,200/家族52,500)**という構成で、スキル重視が続きます。
ここからの実務的な示唆
- 企業は「スポンサー前提」で採る場合、職種・給与・要件適合をより厳密に見る
- 候補者側は「私はスポンサーに値する」を、スキル不足領域との接続で説明する必要がある
- regional 配置や医療・教育などの優先領域は、引き続き相対的に有利になりやすい
スキルアップと業界ごとに求められるスキルのギャップ
2026年は「スキルアップしよう」では弱く、何を、どの順番で、どの市場価値に変換するかが問われます。単純なスキルに加えて、実用性のあるスキルが求められます。
おすすめの設計(勝ち筋が太い順)
- 不足職種に直結する資格・登録(医療・教育・トレード系)
- データ/AI×本業(例:営業×CRM×生成AI、経理×自動化、採用×分析)
- 規制・安全・品質(建設、物流、食品などの“守り”は景気が落ちても残る)
JSAも、技術変化の中で仕事が再設計される点を整理しており、AIを使って成果を出す人材の価値が上がりやすいことを示唆します。
デジタル上でのプロフィールを充実しましょう
2026年に効くのは、気合のネットワークではなく、採用側の意思決定を短縮するネットワークです。
通過率を上げるデジタル動線
- LinkedIn:職務要約を「職種」ではなく “解決できる課題” で書く
- GitHub/ポートフォリオ:成果物は「量」より「再現性(手順・意図・結果)」
- 推薦(Reference):同僚”より“上長・顧客”の声が強い(信頼コストが下がる)
求人が減速すると、企業は「面接回数を増やす」のではなく、最初から確度が高い人だけ会う方向に寄ります。だからこそ、プロフィール設計が効きます。
海外転職においてはLinkedInが最も効果的です。ビジネス界隈のSNSと呼ばれています。
転職エージェントの活用が成功への勝ち筋

2026年の二極化市場では、転職エージェントの価値が上がります。理由はシンプルで、公開求人が相対的に弱くなり、非公開・指名・紹介の比率が上がりやすいからです。
良いエージェント活用のコツ
- 最初に「希望条件」ではなく、あなたの勝てる土俵を一緒に定義する
- 送る職務経歴書は1つではなく、業界別に2〜3パターン作る
- “応募代行”ではなく、給与レンジ・採用背景・面接評価軸を引き出してくれる担当を選ぶ
オーストラリアでのおすすめ転職エージェントはこちらで紹介しています。
まとめ|2026年のオーストラリア転職市場

2026年のオーストラリア求人市場は、統計上は「落ち着き」に見えても、内実は不足領域が強いまま、競争領域が戻る二極化です。
失業率は2025年11月で4.3%と低水準である一方、求人空席はピークから減少し、求人広告は依然コロナ前より高い水準が示されています。だからこそ、2026年の転職は「運」ではなく設計です。
今日からのToDo(最短ルート)
- 自分の職種を「不足領域」にどう接続できるか棚卸し
- それを証明する実績・成果物・資格を補強
- LinkedIn/CVを“採用側の評価軸”に合わせて作り直す
- エージェント・紹介ルートを持って、機会損失を減らす
FAQ(よくある質問)
最後に、簡単なFAQを作成しています。
Q1. 2026年はオーストラリアで「転職しやすい年」ですか?
二極化します。医療・教育・建設・特定ITは依然強い一方、一般職は競争が戻りやすいです(求人はピークアウト傾向)。
Q2. 失業率は今後どれくらいになりそう?
政府見通しでは、失業率は2025–26に4.5%程度が想定されています。ただこれはローカルを含めた全体の数字になっており、外国人雇用はそこまで変化が無いと思われます。
Q3. ビザ制度で押さえるべき大きな変更点は?
代表例として、2024年12月に SID(Skills in Demand)が旧TSSに置き換わったことが公式に示されています。
Q4. 永住枠(Permanent migration)の規模はどうなっていますか?
2025–26の計画では185,000で、スキル枠が132,200(約71%)です。
Q5. Regional(地方)勤務は有利?
政策上、regional 向けや医療・教育などは優先され得る枠組みが示されており、相対的に有利になりやすいです。
Q6. 英語力はどれくらい必要?
職種によりますが、2026年は「英語ができる」よりも、成果とコミュニケーションの再現性(説明力・調整力)がより強く問われやすいです。
Q7. まず何から準備するのが最短ですか?
職種×不足領域の接続を見つけ言語化し、それを裏付ける実績を自分が持っているか確認することが良いでしょう。仕事サイトなど見てどういうポジションが空いているのか確認することがおすすめです。
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