タイでテレビ広告をお考えでしょうか?
タイでは総広告費の半分以上がテレビ広告に費やされており、現状はテレビ広告が広告市場の中心となっています。
また、テレビの普及率が100%に近いためリーチできる範囲が広いです。
ですがタイでのテレビ広告は、国民性の違い等もあり、日本のテレビ広告と同じアプローチを行ってもうまくいきません。
そこで、今回の記事ではタイでテレビ広告を打つ時に押さえたいポイントをわかりやすくまとめています。
テレビ広告を活かして会社のタイ進出や売り上げアップを目指している、あなたにぴったりの内容です。
タイでの売り上げが期待できる、タイに合ったテレビ広告を打ちましょう!
目次
まずはタイのテレビ事情を押さえましょう
新興国であるタイでは、バンコク周辺の都市部と農村部では格差があります。
そんなタイでテレビはどの程度普及しているのでしょうか。
テレビ広告を知る前に、まずはタイのテレビ事情の概要を押さえましょう。
ほぼ全タイ国民にリーチできる媒体である
タイではテレビ普及率が100%に近く、ほぼ全体国民にリーチできる媒体です。
JETROによると、2017年時点におけるタイ全土での地上波電波カバー率は98%、テレビの世帯普及率は99%でした。
対して日本は、日本の二人世帯以上のテレビ普及率は2018年時点で96.6%なので、意外にもタイの方がわずかながら普及率が上回っているほど。(出典:Yahoo!JAPANニュース)
また、タイでは家族が集まって食事をする時間帯での視聴がもっとも多いです。
newsclip.beによると、もっとも視聴する人が多いのが18-21時で調査対象の84.7%の人が視聴、次いで6-9時の47.6%、15-18時の38.5%という結果になりました。
したがって、タイでは電波カバー率やテレビ普及率が高く、家族が集まる時間に視聴されることが多いのが特徴です。
タイで人気のテレビコンテンツ
テレビコンテンツの中で、タイで特に人気と言えるのはドラマとアニメです。
newsclip.beによると、タイ人が視聴するテレビコンテンツはニュースが90.9%、ドラマが80.6%、バラエティーが49.2%、スポーツが18.5%、ドキュメンタリーが12.9%、アニメ11.2%、通販が0.4%。
対して日本では、ITメディアビジネスONLINEによると、ニュースが77.9%、ドラマは51.5%、バラエティーが57.9%、スポーツは39.7%、ドキュメンタリーが29.0%、アニメと通販は「その他」というカテゴリにまとめられ4.0%です。
タイと日本を比較してみると、タイではドラマとアニメの人気が高いことがわかります。
タイの広告市場はまだテレビ広告が中
ここまでタイのテレビ事情を見てきました。
では、広告市場の中でテレビ広告はどのような立ち位置なのでしょうか。
まずは広告市場規模を押さえた後、テレビ広告市場を近年伸びているインターネット広告と比較して見てみましょう。
タイの広告市場規模
タイの広告市場は日本と比べて小規模ですが、日本よりもハイペースな成長が予想されています。
BangkokPostによると、2018年のタイにおける総広告費は日本円に換算して4,075億円ほどです。
対して日本の総広告費は電通によると6兆5,300億円であり、タイは金額ベースで日本の6%程度と小規模なマーケット。
しかし、タイは2019年に前年比 4.8%の成長が見込まれていますが、日本はここ数年多くて2%程度の成長のみであり、タイは日本と比べてハイペースな成長をしていると言えます。
金額ベースで比較すると小規模なマーケットであるタイの広告市場ですが、堅調な成長をしていることが特徴なのです。
テレビ広告市場の状況
タイのテレビ広告市場はインターネット広告市場と比べて成長は小さいものの、未だに金額ベースで広告市場の半分以上を占めています。
BangkokPostによると、2018年の総広告費に占めるテレビ広告の割合は59.1%と、全広告媒体の中で1位。
次いで割合が多いのはインターネット広告ですが、12.6%でテレビ広告の1/5です。
タイでは未だに伝統的な広告媒体に広告費が使われていると言えます。
しかし、2019年にテレビ広告費はわずかに減少して総広告費の58.7%、インターネット広告費は増加して14.5%となり、差が縮まる予想です。
とは言え、総広告費に占める割合こそ減少するものの、タイの広告市場自体が成長傾向にあるため、金額ベースではテレビ広告も4.1%の成長が見込まれています。
インターネット広告ほど成長は見込まれてはいないものの、タイの広告市場の大部分はテレビ広告が占めているのです。
タイでのテレビ広告の成功例
タイで成功するテレビ広告はどのような特徴があるのでしょうか。
実はタイのテレビ広告は世界的に高い評価を受けており、Yahoo!JAPANニュースによると国際的な広告賞の受賞回数は日本よりも多いのです。
こちらで、具体的な成功例を見ていきましょう。
Truemove H
タイの通信会社Truemove Hは、感動を呼ぶストーリー仕立てのテレビ広告を打ち、日本はもちろん、世界各国で字幕が付けられ広まっています。
ストーリーは、貧乏な少年が病気の母親のために鎮痛剤を万引きしてしまい、捕まったところを優しい路面店の店主が助けてあげて、30年後に医師となったその少年が恩返しするという展開です。
キーメッセージを「与えることは最良のコミュニケーションである」として、通信会社のアピールをしながらも感動を呼ぶテレビ広告となり支持を集めました。
このようなテレビ広告が可能となる背景には、テレビ広告の長さがあります。
長崎県立大学東アジア研究所「東アジア評論」によると、日本では15秒のテレビ広告が主流ですが、タイでは30秒や60秒のテレビ広告が多いです。
Truemove Hのテレビ広告は、ストーリーが完結できる秒数を活かし、家族愛や人助けといった共感を呼べるテーマで共感を集められました。
L’Oréal paris
日用品会社のL’Oréal parisは、タイで人気の有名人を起用してタイ人の消費傾向に合ったテレビ広告を打ち、消費者から好反応を得ています。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科の論文 「タイにおける日系企業・広告代理店の広告宣伝活動の成功要因について : 化粧品・パーソナルケア商品のTVCM分析」によると、L’Oréal parisは調査対象である13のテレビ広告のうち、当CMが好きか・商品を買いたいかという問いで1位となりました。
L’Oréal parisのテレビ広告には、Chompooという大人気のタイ人女優を起用しています。
同論文にも、先行研究で「タイの消費者は、オピニオンリーダー層を信頼する傾向が強く、彼らの使用しているものを所有、消費したいという傾向が強い」という記述があります。
そのため、Chompooのような影響力のあるセレブリティを起用するのは効果的といえるのです。
L’Oréal parisは消費者の憧れの存在になり得るセレブリティを起用することで、消費者の支持が集められるテレビ広告を打つことに成功しました。
テレビ広告を打つ時の注意点
ここまで、タイにおけるテレビ広告事情や成功事例について紹介してきました。
予算をかけてテレビ広告を打つのであれば、失敗は避けたいものです。
効果的なテレビ広告を打つために、タイ特有の注意点を把握しましょう。
ストーリー性を持たせる
タイでテレビ広告を打つ時は、コンテンツにストーリー性を持たせることが大切です。
ストーリー仕立てのTruemove Hのテレビ広告が大成功するなど、タイ人はストーリーを大切にします。
また、西南学院大学国際文化論集「タイにおける広告文化の諸特性 ― 外国文化の影響とローカル文化の反応 ―」によると、タイの国民性から理解しやすく面白いコンテンツが好まれやすいという特徴があるのです。
話題になるテレビ広告を狙うのであれば、直感的に楽しめるストーリー仕立てにするのが良いと言えます。
インターネットとの併用が大切
テレビ広告を打つ時は、デジタルマーケティングを併用するようにしましょう。
広告費の大部分を占めるテレビ広告ですが、前述の通りインターネット広告が伸びることが予測されています。
インターネットが使いこなせる若年層を取り込むためにも、インターネット広告を併用することが有効です。
西南学院大学 国際文化論集「タイにおける広告文化の諸特性 ― 外国文化の影響とローカル文化の反応 ―」によると、テレビ番組はインターネットにアップロードされるため、タイでは番組を録画して後日見るという習慣があまりありません。
また、タイ人はFacebookはじめSNSで情報共有する傾向が強いので、テレビのようなオフライン媒体で完結する広告よりも、オンラインに繋げられる広告の方が効果的なのです。
そのため、近年O to Oと呼ばれる、オフライン to オンラインの広告手法も取られるようになりました。
インパクトが与えられるテレビ広告を打ち潜在的顧客を惹きつけ、詳細情報はSNSにて公開することで、企業のSNSを閲覧した個人が口コミのように情報発信するという流れに繋げる狙いです。
インターネット利用者が増えるタイでは、タイ人のライフスタイルに適応し、テレビ広告とインターネット広告を組み合わせることが有効と言えます。
感情を動かす広告でシェアを狙いましょう
感情を動かす広告で消費者発信のシェアを狙うことは、広告成功の近道です。
西南学院大学 国際文化論集「タイにおける広告文化の諸特性 ― 外国文化の影響とローカル文化の反応 ―」によると、タイの広告は「シェアの文化」を活かしたものが少なくありません。
コカコーラ社のShare a Cokeキャンペーンでは、タイ人のよくあるニックネームが印字されたペットボトルが用意され、大切な人の名前が書かれたコーラの写真をSNSに上げるイベントが開催されました。
SNSが好きで、家族を大切にするタイ人の感情に沿ったShare a Cokeのキャンペーンのように、タイ人の「好き」「やりたい」を刺激する広告を打つことで、シェアが狙える広告になるのです。
最後に
いかがだったでしょうか。
タイではテレビ広告が広告市場の大部分を占めており、テレビ広告はまだ有効な手段です。
ですが有効な広告を打つためには、インターネット利用が増えているタイ人のライフスタイルに合わせて、インターネット広告を併用しましょう。
インターネット広告を併用することで、テレビ広告のストーリーで興味を引いた後に企業SNSに誘導することも可能です。
タイのテレビ広告の注意点を押さえましたが、慣れない海外への広告展開は不安になると思います。
少しでも不安や疑問がある場合には、プロフェッショナルのサポートを受けるべきかと思います。
かくいう筆者もタイのマーケティングには3〜4年ほど携わっているので、もしご相談があればお気軽にお問い合わせください。
では。