東南アジアのインターネット事情【2026年版】SNS・EC関連・抑えるべきチャネルなど

東南アジアのインターネット事情についてお探しでしょうか。

スマートフォンの普及、TikTokをはじめとする短尺動画の台頭、そして生成AIの急速な浸透によって、東南アジアのデジタル世界は今、世界で最もダイナミックな市場のひとつになっています。

そこで今回はWe Are Socialから出ているDigital 2026レポートや、Google・Temasek・Bain & Companyのe-Conomy SEA 2025の最新情報をもとに、2026年現在の東南アジアのデジタル事情をわかりやすくまとめました。

この記事ではSNS、EC事情、マーケティング・チャネル、そして2026年の主役である生成AIの影響について詳しく紹介していきます。

マーケティングに必要な東南アジアの最新知識を身に着けていきましょう!

東南アジアのインターネット・SNS事情

まずはじめに、東南アジアのインターネットおよびSNSの基礎データを見ていきましょう。

2025年末時点のDigital 2026シリーズから、主要国の数値をまとめると以下のようになります。

インターネットユーザー数ネット普及率SNSユーザー数SNS浸透率
シンガポール578万人98.4%533万人90.6%
インドネシア2億3,000万人80.5%1億8,000万人62.9%
ベトナム8,560万人84.2%7,900万人77.6%
タイ6,780万人94.7%5,660万人79.1%
フィリピン9,800万人83.8%Facebook 9,580万人規模

インドネシアのSNSユーザーは前年比26%増で1億8,000万人に達し、1年で約3,700万人が新たに加わりました。人口規模で見ると東南アジアの中でも圧倒的で、ASEAN全体のSNS市場の約半分をインドネシアが占めている構図です。

シンガポールはすでに人口の90.6%がSNSを使うという飽和に近い状態ですが、インターネット普及率が98.4%と非常に高く、LinkedInの広告オーディエンスが18歳以上人口の100%を超えるなど、プロフェッショナル層のデジタル接点密度がASEAN随一です。

使用するSNSプラットフォームは月間7~8個

東南アジアのSNS利用で特徴的なのは、ユーザーが月間で使い分けるプラットフォーム数が世界平均を大きく上回る点です。

  • フィリピン:約8プラットフォーム(世界トップクラス)
  • インドネシア:7.7プラットフォーム
  • シンガポール:7.4プラットフォーム(前年比+4.2%)

一人のユーザーがFacebook、TikTok、Instagram、WhatsApp、YouTube、LINE(タイ)、Telegram、Threadsなど、多数のアプリを日常的に行き来しています。

We Are Social 東南アジアのManaging DirectorであるNaiyen Wang氏は、モバイルファースト市場では人々が7つ以上のプラットフォームで活動するため注目が分散化しており、ブランドは「存在する」だけでなくアジャイルかつ文化的に関連性を持つ必要があると指摘しています。

マーケティング観点で言うと、一つのプラットフォームに集中する戦略はリスクが高く、各SNSの特性に合わせたコンテンツの出し分けが必須ということです。

国ごとの主役SNSは大きく異なる

「東南アジア」と一括りにされがちですが、国ごとに主役のSNSは大きく異なります。

主要SNSの特徴
フィリピンFacebook 9,580万人、Messenger 6,580万人、TikTok 6,400万人(18+)、YouTubeリーチ5,960万人
インドネシアTikTok 1.8億人(広告リーチ)、WhatsAppが「お気に入り1位」、Facebook経由のWebトラフィック紹介が97.08%
タイLINEが事実上のインフラ(5,600万人/月、人口の78.2%)、Facebook広告リーチは成人の84.3%
ベトナムTikTok成人広告リーチが成人人口の102.9%(重複含む)、Facebookも強力
シンガポールLinkedInが最強(ネットユーザーの37.3%がアクティブ)、Reddit利用者も4人に1人
マレーシアChatGPT利用率48.4%、Threads利用者が月間で4人に1人超

特にタイのLINEは日本と同じくメッセンジャー・ペイメント・ニュース・ショッピングのハブとして深く浸透しており、タイ市場ではLINE公式アカウント運用がマーケティングの起点になります。

一方で、TikTokは東南アジア全体で最大勢力のひとつに成長しました。タイ・ベトナム・フィリピンはTikTokのグローバルトップ5カ国に入り、これらの国ではインターネットユーザーの80%以上が毎月TikTokにアクティブです。TikTokのグローバル広告オーディエンスの22.3%を東南アジアが占めているという事実は、TikTokをコア戦略に据える根拠として十分でしょう。

SNS利用時間は世界最長クラス

東南アジアの人々がSNSに費やす時間は、世界的に見ても群を抜いて長い水準です。

  • フィリピン:週約34時間(SNS+動画視聴)、世界最長級
  • インドネシア:週21時間50分(1日3時間以上)
  • マレーシア:TikTokだけで月42時間44分(世界平均34時間56分を大きく上回る)
  • シンガポール:週17時間(1日2時間以上)

東南アジアの人口の2人に1人がSNSを使用し、少なくとも5人に1人がインフルエンサーをフォローしています。特にフィリピンは社会人口の43.9%がインフルエンサーをフォローしており、インフルエンサーマーケティングの効果が最も出やすい市場と言えます。

東南アジアのEC市場について

続いてEC(電子商取引)の観点から数値を見ていきます。

2026年の東南アジアEC市場で最も大きなニュースは、デジタル経済全体のGMV(流通取引総額)が2025年に3,000億ドルを突破する見込みになったことです。これは10年前の初回予測の1.5倍にあたる規模で、前年比15%の成長を維持しています。

EC単体で見ても、2025年のGMVは1,850億ドル、売上高は410億ドルに達する見込みです。東南アジア全体で3人に2人がオンラインで買い物をし、全決済の60%以上がデジタルになっています。

週1回以上オンラインで買い物する国民の割合

週次のオンライン購買率で見ると、東南アジア各国は世界トップレベルです。

  • タイ:66.6%(世界1位)
  • フィリピン:59.7%
  • マレーシア:59.6%
  • ベトナム:59.0%
  • インドネシア:56.0%

タイが世界1位というのは意外に思われるかもしれませんが、ShopeeとLazadaがほぼ全国民のスマホに入っており、日常的な買い物の選択肢としてECが定着している裏付けです。

ECの主役は「動画コマース」へ

2026年の東南アジアECで最も重要なキーワードが動画コマース(Video Commerce)です。

e-Conomy SEA 2025によれば、動画コマースは東南アジアEC全体のGMVの約25%を占めるまでに成長しました。TikTok Shop、Shopee Live、Lazada Liveなどのライブコマース機能が、信頼できるローカルクリエイターの影響力とシームレスに結合し、視聴から購入までを最小限の摩擦で完結させています。

特にインドネシアでは、TikTok ShopがShopeeに次ぐECプラットフォームとして定着しており、商品の発見・比較・購入がすべてTikTokアプリ内で完結する消費者が急増しています。

デジタル広告費の動向:SNS広告とインフルエンサーが二桁成長

広告費の配分トレンドを見ると、SNSとインフルエンサーへの集中がさらに加速しています。インドネシア1国の2025年の数字は以下の通りです。

  • 総広告費:69.7億ドル(前年比+5.3%)
  • デジタル広告費:36.4億ドル(総広告費の52%、前年比+8%)
  • SNS広告:デジタル広告の最大シェア(前年比+11.3%)
  • インフルエンサー広告:前年比+14.4%

デジタルがすでに広告費の過半数を占め、その中でもSNS広告とインフルエンサー広告が二桁成長を続けている点は、マーケティング予算配分を考えるうえで明確な指針になります。

東南アジアでブランドを見つける・探すときのチャネル

ここからは、東南アジアの消費者が新しいブランドを発見するとき、そしてブランドについて調べるときにどのようなチャネルを使用しているのか見ていきましょう。

新しい商品・ブランドと出会うチャネル

2026年の東南アジアの消費者にとって、ブランド発見のチャネルは検索エンジンとSNS広告がほぼ拮抗する状態になっています。

インドネシアの例を見ると以下の通りです。

  • 検索エンジン:38.3%(1位)
  • SNS広告:37.3%(2位、検索との差はわずか1ポイント)
  • SNSのコメント:32.6%

さらに、フィリピンやマレーシアではSNS広告が検索エンジンやブランド公式サイトを上回る発見チャネルになっています。グローバルでも16~34歳の層にとってSNS広告はすでにブランド発見ナンバーワンのチャネルで、この流れは東南アジアでより顕著です。

インフルエンサーの役割も大きく、インドネシアでは4人に1人以上が毎週インフルエンサー動画を視聴し、先月中にSNS上のスポンサー投稿をクリック/タップしたユーザーは約5人に1人にのぼります。

ブランドを調べる時はSNSが主要チャネル

ブランドを知った後の「調べる」動作でも、SNSが圧倒的な主役になっています。

ブランド調査にSNSを使う比率は以下の通りです。

  • ベトナム:83.0%
  • インドネシア:82.1%
  • フィリピン:79.4%
  • マレーシア:73.9%

いずれもグローバル平均(73.9%)を上回る水準です。インドネシアでは5人中3人がオンラインでのブランド調査の主要チャネルとしてSNSを使用しています。

つまり、ブランドがSNS上に十分なコンテンツ・レビュー・UGCを蓄積していないと、検索で見つかってもコンバージョンにつながりにくいということです。特にTikTokとInstagramでの検索可能性(ハッシュタグ、キャプション、動画内音声)への最適化が、新しいSEOとして重要になってきます。

2026年の新潮流:生成AIの急速な台頭

2026年の東南アジアのデジタル事情を語るうえで、生成AI(Generative AI)を外すことはできません。

Digital 2026によれば、世界では月間10億人以上が単独の生成AIツールを使用しており、ChatGPTだけで2025年10月初旬時点で週間8億ユーザーに達したと報告されています。

東南アジアでもこの波は顕著で、各国の利用率は以下の通りです。

  • マレーシア:月間利用率 約48.4%(世界トップクラス)
  • インドネシア:月間3人に1人以上がChatGPTを利用

SimilarwebではChatGPTがインドネシアで4番目に訪問数の多いウェブサイトにランクインし、AIトラフィック紹介の80.6%を占めるまでに成長しました(2位はPerplexityで15.03%)。

東南アジアの消費者のAIへの関心度は世界平均の3倍という調査結果もあり、e-Conomy SEA 2025では「68%の消費者がAI生成のレコメンドに影響を受ける」と報告されています。

これが意味するのは、従来の検索エンジン経由のトラフィックに加えて、AIアシスタント経由で自社ブランドがどう言及されるか(GEO/AI SEO)が新しいマーケティング課題になってきたということです。

さいごに

いかがだったでしょうか。

2026年現在の東南アジアのデジタル事情をまとめると、以下のようになります。

  • SNS浸透率は国によって大きく異なり、シンガポール90.6%からインドネシア62.9%まで幅がある
  • ユーザーは月間7~8プラットフォームを併用、一点集中型のチャネル戦略は効果が薄い
  • TikTokは東南アジアで世界最大規模、動画コマースがEC GMVの25%を占める
  • 週次のオンライン購買率は世界トップレベル、タイは66.6%で世界1位
  • ブランド発見・調査の主役はSNS、フィリピン・マレーシアではSNS広告が検索を上回る
  • 生成AIがマレーシアで人口の約半分、インドネシアで3人に1人が利用する新チャネルに

東南アジアは「一つの市場」ではなく、国ごとに主役のプラットフォームも消費者行動も大きく異なる、多様性のある市場の集合体です。このような基本的な情報を押さえた上でマーケティング活動をすると、的確なアプローチができるかと思います。

では。

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