タイで広告を打とうとお考えでしょうか。
海外でのマーケティングの重要性が増している中、東南アジアのハブ的存在であるタイで広告を打つことは有効です。
タイは既に日本の食文化や商品が浸透していますが、広告面では歴史的背景や特徴が異なります。
そのため、日本と同じノウハウのみでは大きな効果が生まれる広告を打つことは難しいです。
タイの広告について理解し、適切なアプローチを取る必要があります。
そこで本記事は、タイでの広告についての概要と成功に必要なコツをまとめました。
本記事を読めばタイでの広告の打ち方について理解が深まり、困った時の相談先もご紹介しているので、次の一歩に迷うこともありません。
タイで効果的な広告を打ち、あなたのビジネスを加速させましょう。
目次
小規模ながらに多国籍なタイの広告事情
まずは、タイでの広告事情を押さえましょう。
金額的には小規模なタイの広告市場ですが、広告に多国籍性があるのが特徴です。
広告産業の歴史
タイの広告産業は歴史的に、外国の影響を受けた広告が多いという特徴があります。
対して日本の広告産業は、日本企業によって発展してきたため広告に外国の要素は強く現れていません。
長崎県立大学東アジア研究所『東アジア評論』第3号「タイの広告の特性」によると、タイの広告産業の幕開けは、Groake Advertising Agencyというアメリカの広告代理店によるタイ支店のオープンがきっかけです。
以降、アメリカをはじめとする外資広告代理店の外国人がタイの広告産業の中心となっていきます。
また、外資広告代理店で働き力をつけたタイ人が広告代理店を設立することで、タイ人が中心となった時代もありました。
しかし近年、タイの経済成長により外資企業の注目の的となり、また外資広告代理店が広告産業の中心となっています。
タイの広告産業は外資企業によって支配されてきた歴史的背景を持つため、タイにおける広告は外国の影響を多分に受けているのです。
加えて、タイでは商品イメージを作るために、あえて外国のイメージを採用することも多くあります。
同論文によると、タイでは2003年頃から日本文化や日本イメージが多く現れるようになりました。
日本食に対するヘルシーで美味しいというイメージを活かし、広告上の言葉がすべて日本語となっている日本茶やスナック菓子の広告もあるほど。
なので、歴史的にみてタイでは外国に影響を受けた広告が多いのです。
広告市場規模
タイの広告市場規模は日本と比べて小規模といえます。
BangkokPostによると、2018年におけるタイの広告市場は4,075億円程度でした。
対して電通によると、日本の広告市場は6兆5,300億円であり、タイは金額ベースで日本の6%程度と小規模です。
しかし、西南学院大学 国際文化論集「タイにおける広告文化の諸特性 ― 外国文化の影響とローカル文化の反応 ―」によると、名目GDP規模の差も広告市場規模と同程度の差。
つまり、タイ社会では日本社会と同じくらい広告が重要であると言えます。
タイの広告市場規模は金額ベースで小規模なものの、名目GDPを鑑みると、タイにおける広告は日本における広告と同程度の重要度なのです。
タイでの広告の現在とこれから
タイでの広告について、歴史的背景と市場規模の観点で概要を確認しました。
ここでは、タイにおける広告の現在の特徴と未来像を見ていきましょう。
タイでの広告【現在】
現在のタイにおける広告で特徴的なのは、タイスタイルのユーモアがある点と消耗品や食べ物に関する広告が多いことです。
外国の影響を強く受けているとはいえ、現在のタイでの広告には「タイらしさ」が垣間見え、タイならではの特徴が見てとれます。
特徴①:タイスタイルのユーモアさがある
特徴の一つが、タイスタイルのユーモアが反映されており、面白くわかりやすい広告が多いことです。
タイ文化には「sabai-sabai」(のんびり)と「mai-pen-rai」(気にしない)という精神があります。
おおらかなタイ文化の影響で、タイでの広告はユーモアに富んだり、肯定的で温かい人間関係が描かれたりすることが多いのです。
特徴②:低関与製品向け広告の多さ
次に特徴として挙げられるのが、低関与製品向け広告の多さです。
低関与製品とは、消耗品や食べ物といった、選ぶ際の検討事項が少なく消費者の思考があまり関与しない製品を指します。
対して日本では、耐久品や趣味嗜好品といった、選ぶ際の比較検討事項が多く高額な高関与製品の広告が多くあります。(出典:長崎県立大学東アジア研究所『東アジア評論』第3号[2011.03])
農林水産政策研究所の2018年の報告によると、タイの人口に占める農業従事者は40%です。
農業従事者が多いことから、家庭用品や飲食料など、低関与製品に関する広告の多さに繋がっていると言えます。
現在のタイでの広告にはタイの文化や産業といった「タイらしさ」が見られ、ユーモアに富む広告や低関与製品の広告が多いのです。
タイでの広告【これから】
タイでの広告の未来像は、少子高齢化やバンコク中心といった社会の流れを汲んだものになると予想されています。
その理由について、見ていきましょう。
引き続き取り入れられる特徴:外国の影響とユーモア
タイでの広告で引き続き取り入れられる特徴になると予想されるのは、外国の影響の強さとタイスタイルのユーモアの共存です。
長崎県立大学東アジア研究所『東アジア評論』第3号「タイの広告の特性」によると、タイでは広告代理店の外資系の割合が増加して、広告の外国イメージも更に増加すると予想。
しかし、外資系企業のグローカリゼーションが重要視される現代では、ターゲットがタイ人である以上、外国イメージの中でもタイのユーモアは引き続き取り入れられていくと予想できます。
変化する部分:広告の登場人物
今までの傾向が継続する部分もあるのに対し、変化する部分になると予想されているのが広告の登場人物です。
タイでは、1960年代の家族計画が原因で日本と同様少子高齢化が進んでいます。(出典:長崎県立大学東アジア研究所『東アジア評論』第3号[2011.03])
また、首都バンコクとその周辺の経済が中心的に発展していることによって、バンコク中心の広告展開がされるようになる可能性が高いです。
つまり、少子高齢化によって広告に登場する子供が減ったり、バンコク中心の考え方によって農村部の描写が減少し、都市部の一人暮らしのライフスタイルが描かれたりするということが考えられます。
タイでの広告の未来像は、外国イメージの強さ等が変わらない部分もありながら、ライフスタイルなどの社会の変化を反映していくと予想されているのです。
タイでの広告で成功するために押さえるべきこと
実際に、タイで広告を打つ際に押さえておくべきコツをまとめました。
タイにぴったりの広告で売り上げアップを実現するためにも、成功のコツを押さえましょう。
理解しやすく面白く
タイで打つ広告は、理解しやすい内容にして、さらに面白くすることが大切です。
西南学院大学 国際文化論集「タイにおける広告文化の諸特性 ― 外国文化の影響とローカル文化の反応 ―」によると、タイ人の好む5Sと呼ばれる概念があり、広告の戦略によく使われています。
5SとはSaduak(サデゥアク)、 Sabai(サバーイ)、 Sanuk(サヌック ) Smile(マイル)、Sa-thu(サートゥ )を指し、それぞれ便利・気持ちいい・楽しい・笑顔・仏教的感謝の祈りという意味です。
このように、直感的に肯定的なイメージが好まれるので、理解しやすさと面白さが大切と言えます。
タイではコンテンツにおける面白さは重要で、テレビ番組はメッセージを伝えること以上に面白さに重きが置かれるほどです。
そのため、タイ人は広告にドラマや映画のような直感的な面白さを求めており、タイにはストーリー性のある広告やシリーズ広告が多くあります。
なので、タイでは国民性を鑑みて広告を理解しやすい内容にし、さらに面白くすることが大切なのです。
シェアの文化を活かす
広告は、タイにあるシェアの文化を活かせるように打ちましょう。
西南学院大学 国際文化論集「タイにおける広告文化の諸特性 ― 外国文化の影響とローカル文化の反応 ―」によると、タイではSNSが人気であり、文字以上に写真の共有が盛んです。
なので、タイでは広告単独の効果のみでなく、消費者によるシェアが見込める広告を打つことが効果的と言えます。
ペプシ社は、Pepsi Mountain Dew のキャンペーンにおいて、派手でアクロバティックなテレビ広告を打つことでかっこいいイメージを醸成し若者の興味を引き、FacebookやInstagramへ誘導するという戦略を取りました。(出典:「タイにおける広告文化の諸特性 ― 外国文化の影響とローカル文化の反応 ―」)
なので、広告を最終的にSNSへ誘導する、またはSNS上で広告を打つことで、シェアの文化を活かした広告が打てるのです。
ターゲットの社会階層に合ったキャッチフレーズを使う
タイでは社会階層間の格差を考慮し、ターゲットの階層にあったキャッチフレーズを設けることが有効です。
西南学院大学 国際文化論集「タイにおける広告文化の諸特性 ― 外国文化の影響とローカル文化の反応 ―」によると、過去のタイで打たれた広告はターゲット層によって傾向が異なります。
例えば上流階層をターゲティングした広告のキャッチフレーズであれば、「名誉」「最高の」といった日常会話よりも品のある言葉を使い、上流階層としてのプライドをくすぐるようなものが多いのです。
中流階級に多いのは、「パラダイス」「豪華」といった高級感が溢れるキャッチフレーズを設けて上流階級に追いつこうという心理を反映したもの。
中間層に対しては、「机にぴったり」など、日常のタイ語を用いて端的で生活に沿ったキャッチフレーズである傾向があります。
そして下層の人々に対しては、あまり考えなくても理解できるような表現とし、むしろキャッチフレーズよりも派手な色など視覚的にアピールすることもあるのです。
キャッチフレーズのみでなく、例えば移動手段など、階層ごとに様々なところに違いが出るため、広告を打つ際には注意が必要と言えます。
ターゲットの社会階層をしっかりと見極めた上で、効果的なキャッチフレーズを作成する必要があるのです。
人気の媒体はFacebook
タイで人気の広告媒体はFacebookです。
人気の背景はタイ人におけるFacebook利用率の高さがあり、SankeiBizによると2017年時点ですでに総人口の70%が利用しています。
一方日本では、マイナビニュースによるともっともFacebook利用率が高い県である福島県ですら45.5%であり、いかにタイのFacebook利用が盛んか伺える数字です。
加えて、タイではソーシャルネットワーキングのみでなくFacebookを通じた売買も行われているため、Facebookのビジネス利用の意識が強いと言えます。
Electronic Transactions Development Agencyによると、タイの企業が各広告媒体で広告を打った際の効果を比較すると、FacebookがもっともROIと売り上げが高い結果になりました。
また、広告にかけられる予算が限定されている中小企業の広告費の内訳を見てみると、Facebookが94%と圧倒的なシェアとなっています。
タイでは広告効果や利用率が高いので、Facebookが人気の広告媒体と言えるのです。
最後に
いかがだったでしょうか。
タイの広告は歴史的に外国のイメージが強く、2000年以降は日本に対する高品質のイメージもあり日本の影響を受けた広告も多くあります。
とはいえ、タイで効果の出る広告を打つためには日本と同じノウハウだけでは不十分です。
成功のコツを理解しても、言葉も文化も異なるタイで広告を打つのは大変です。
サポートを受けながらタイでの広告を打ちたい時は、お気軽にお問い合わせください。
では。
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