シンガポールでの転職・就業をお考えでしょうか。
一口に働くといっても様々です。
また、直近シンガポールのビザは大きく変わっているのでここでは現時点での最新情報をお届けします。
この記事では主にEP・S-Pass・DPについてご説明してきます。
※詳細情報などは現地の人材紹介会社やMOM(Ministry of Manpower)にお問い合わせください。
目次
シンガポールの労働ビザは大きく4つ
日本人がシンガポールで働く場合、ビザは大きく4つに別れます。
- エンプロイメントパス(EP)
- アントレプレナーパス
- エスパス(S pass)
- ディペンデントパス(労働ビザ保持者の家族用ビザ)(DP)
前述しましたが、今回はその中でもEP,S pass、DPについて説明していきたいと思います。
*1SGD=80円とします。
エンプロイメントパス (Employment Pass)
略してEPです。
駐在員や現地採用で働く専門スキルを持っている労働者はだいたいEPになります。
EPを申請するには、十分な学歴(主に大学卒業以上)を持っていることが条件となります。
そして、EPには最低給料も決められているのですが、この基準が年々上がっています。
まず、最低基本月給額がS$3,900からS$4,500に引き上げられたこと
さらに、金融業界に関しては以下の基準が適用になります。
現在:最低月給3,900Sドル(312,000円)
2020年9月1日~11月末まで:最低月給4,500Sドル(360,000円)
2020年12月1日より:最低月給5,000Sドル(400,000円) ※更新の場合は2021年5月1日より適用
年齢と大学による最低給料の違い
さらに年齢と出身大学によって給料レンジも異なります。
考えとしては、年齢が若く名門大学を卒業しているほど、給料は安くすみ、年齢が高く大学レベルが下がっていると必要給料はあがります。
例)
年齢25歳&慶応大学卒業:4900SGD(以前は4211SGD)
年齢28歳&明治大学卒業:6200SGD(以前は5311SGD)
年齢31歳&慶応大学卒業:6600SGD(以前は5800SGD)
年齢34歳&慶応大学卒業:6950SGD(以前は6200SGD)
年齢37歳&慶応大学卒業:7750SGD(以前は6900SGD)
28歳で6200SGD 大体月給50万円、年収にすると600万円くらいです。
それなりの仕事についていないと、もらえる額ではありません。
給料の詳細についてはこちらを御覧ください。
エスパス(S Pass)
中技能外国人向けの労働許可証ともいわれ、高度専門職やマネジメント向けの労働許可証であるEP(Employment Pass)の条件に満たない外国人、一般的には新卒社会人等、一定の学歴のある若い外国人むけの労働許可証といえます。
簡単に言うと、給料が低くても外国人を雇えるビザです。
しかしながらそのS Passを発行できる人数は会社によって決まっています(でないと会社はEPでなくS Passを発行しまくるからです)
最低賃金:S$2,200(176,000円)
応募条件:大学卒。それ以外の場合は、最低でも1年間の全日制の学校で学んだ専門学校を卒業したもの。また、希望している職種に関連する勤務経験が、数年ある者。
必要書類:所定の申請フォーム・パスポート・雇用主の最新事業報告書・応募者の学歴証明書(場合によっては、明記した以外の書類も必要になります。)
また、Sパス申請にあたっては、複数人のシンガポール人等の雇用実績がなければなりません。業種により異なりますが、Sパスホルダーの人数は全従業員数(*Total Workforce)の15%もしくは20%までという「枠」が定められています。
EPとの違い
一見すると給料だけが違うEPとSパスですが、そのほかにも違いがあります。
- 月額給与SGD12,000以上のEPホルダーは、両親をシンガポール連れてくることが認められていますが、Sパスホルダーには認められていません。
- EPホルダーの配偶者は申請さえすればにより就労可能ですが、Sパスの配偶者等には認められていません。
- 雇用主である会社等はSpassを発行した分、外国人雇用税(FWL: Foreign Worker Levy)の支払い義務があります。
- Sパスホルダーの雇用にあたり、一定人数のシンガポール人等の雇用義務があります(参考)。
- 会社はSパスホルダーに対し、保険金SGS15,000(年間)以上の医療保険に加入しなければなりません。
- Sパスホルダーへの給与の支払いは、一定の例外を除いて銀行振り込み等、記録が残る電子送金によらなければなりません。
ディペンデントパス(DP)
月給が6,000SGD(480,000円)以上のEP、Spassの帯同者として、シンガポールへいらっしゃる方が持っているビザになります。
就労ビザを所持している方の、配偶者及び21歳以下の未婚で法律上子供にあたる方、に対して発行されるビザです。ただディペンデント(Dependent Pass)単体ではお仕事ができません。
そのため、DPの方が働きたい場合は、Letter of Consent(LOC)と呼ばれる申請を行うことになります。
Letter of Consent(LOC)
EPの配偶者としてDPを所持している方、またはシンガポール国籍かシンガポール永住権を持っている方の配偶者で、長期滞在ビザ(LTVP)所持の方が、就労する際に申請するものです。
LOCがあると、DPの方であっても会社に勤務することができます。パートタイムで働いている駐在員の奥さんなどはLOCを発行してもらって勤務しているわけです。
英語不問の求人や時短やパートでの勤務など、柔軟性が高い求人も多いことが特徴です。
雇う会社としてもEpassやEPの給料を払わずに優秀な労働力をゲットすることができるので、このLOC制度は比較的好評です。
※LOCで働けるのは、EPの帯同者のみです。Spassの帯同者は別途就労ビザの取得が必要です。
DPの就労条件が変わる
このDPですが、つい先日シンガポール政府より大きな方針転換がありました。
2021年5月より、DP保持者がシンガポールで労働する際には、EPもしくはS Passの取得が必要となりました。
つまり、DPとして来た方(駐在員の奥様など)がシンガポールで働こうと思った場合、最低でもS Passなみの仕事量はこなさなければいけないということなります。また、会社もその分の給料を支払わなければいけません。
具体的には
・パートの仕事ができなくなる
・働き口が制限される
などの事が想定されます。
今回の変更の詳細は?
詳細は2021年5月1日にMOMから発表がある予定ですが、すでにいくつか記載があります。
現在雇用されている既存のDP保有者は、LOCの期限が切れるまで働き続けることが可能ですが、LOCの期限以降、更新は行えなくなります。
つまり、今LOCで働いている方は期限が切れるまではLOCとして働いていてOKですが、2021年5月以降の申請についてはできないため、SPassあるいはEPの申請が必要になります。
いまできるアクションは?
適用は5月1日からなので、まだ時間はあります。該当の方はそれまでにやれるべき対応をしていまいましょう。
①4月30日までは、LOCの更新を受け付けているとの事です。
LOCは半年を切れば更新が可能なので、5月1日以降も勤務を予定している場合は更新をしてしまいましょう。
②LOC有効期限は、DPスポンサー(EP)の期限が最大です。配偶者のEPが期限まで半年を切っているなら、EPを更新可能です。まずはEPを更新しましょう。
③現在、求職中のDPは、速やかに内定をとり、LOCを申請を進めましょう。
事業を保有するDPの場合は?
事業を所有するDP保有者の場合、特定の事業主には免除が認められます。
具体的には、事業がローカル雇用を創出する場合、LOCで事業を継続することができます。
ただ、条件があり、以下の2つです。
1. 事業の30%以上の株式を保有する個人事業主、パートナー、または会社の取締役である
2. 1400Sドル以上の給与で、3ヶ月以上働いている、CPFを収めるローカルもしくはPRを1人以上雇用している
一方で、DPを月10万円程度で雇いながら運営をしていた日系会社(EPを給料を支払う体力は無いけれど、S-Passで雇用できる外国人労働者の枠は全て使っている、けれども日本語が話せる人を雇いたい、だからDPに頼る)などは打撃を受けるでしょう。
今回の変更の背景にあるもの
シンガポール政府からすれば、自国民の雇用を守りながら、一人あたりの給料を上げて発展していく事が目的なのでDPに頼るなという意思表示とも言えます。
また、そもそもDPの人数は全外国人就労許可数の1%に過ぎず、日本人界隈ほど、気にしてもいないかもしれません。
今後はどうなる?
ただ、駐在員の奥様できているような方は優秀な方も多くいらっしゃり、今回の報道を受けて一部のDPの方をSPassまたはEPに切り替えて引き続き勤務をしてもらう事を考えている企業もいるとの事でした。
EPに加えてDPの就労条件の変更があり、ますますシンガポールで外国人が就職するのは難しくなってきました。
ですが、「DPで働いている者の大半は、一般の就労ビザ基準を満たす」とシンガポールの労働大臣が発信しているように、それに見合った給料をもらえるのは良いことかもしれません。
最後に
いかがだったでしょうか。
シンガポールのビザは種類がありますが、共通して言えるのは外国人の雇用条件が厳しくなっていること。
Covid-19の影響もあり雇用が減っている中でまずはシンガポール国民を雇用してほしいという思いが伺えます。
経営の観点からしても人材の再構成が必要になってきています。
では。
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